第93章 念願の
杏「子供の前では触れ合うどころかこの様な言葉さえ交わさないつもりでいたのか!諦めてくれ!!」
「え"っ」
杏寿郎に翻弄される姿をこれから子供の前でも晒さないといけないなどとは思っていなかった為、桜は短い声を上げて固まってしまう。
そんな桜を杏寿郎は労るように撫で続けながら愛おしそうな表情を浮かべて口角を上げたのだった。
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それから順調に2ヶ月が過ぎ、胎動が更に力強くなると共に逆子体操を勧められるようになった。
しかし、男2人のうち1人が勝手に戻ったりまた逆子になったりと元気が良すぎて『母体がどうしようとあまり意味が無いのでは…。』と桜は途方に暮れた。
杏「随分と元気が有り余っているのだな。やはり俺に似ているのだろうか。君に似ていれば逆子になったらなりっぱなしの それはそれで困った子になっていただろう。」
「う…言い返せない……。」
桜が悔しそうに言うと杏寿郎は笑いながら腹に顔を近付ける。
杏「桜の言う事を聞くようにと言った筈だぞ!!頭を下に向けるんだ!!!」
「……わっ」
桜は杏寿郎の大声ではなく子供の反応に驚いて声を上げた。