第93章 念願の
杏「桜、すまない。びっくりさせてしまったか。腹は痛むか。頭痛はどうだ。」
「慣れているので驚きませんよ。それにどこも痛くないです。安心してください。」
桜の笑みに安心すると杏寿郎は千寿郎と共に皿を並べたりと瑠火の手伝いを始める。
桜はそれに加わりたくてうずうずとしたが槇寿郎に睨まれると諦めた様に座り直した。
(過保護だ…。運動不足になっちゃう。経験者のお義母さまも過保護だから余計に皆それが普通かのように思っちゃってる…。お義母さまは何故…?)
そんな事を思いながら首を傾げていたが、瑠火は決して桜を過保護に扱っていた訳ではなく 桜がよく転ぶことを知っていた為に『腹を打ったら大変だ』という尤もな考えからこの様に扱っていたのだ。
そんな考えも知らずに桜は申し訳なく思いながらものんびりと過ごし、そして1ヶ月半経つと つわり問題も解決して桜が吐くことは無くなった。
更に1ヶ月経つと腹の中の子が異常に活発に動くようになる。
「……杏寿郎さんが中に居るみたいで少し怖い。」
杏「それはどういう意味だ。」
そんな会話をしながら三つ子だと分かった時点でクリニックが紹介してくれた病院へ行くと先生は2人がとても楽しみにしていた事を教えてくれた。
先「2人は…男の子だね。もう1人は女の子ですよ。」
「や…やった……!杏寿郎さん、女の子ですって!」
杏「よくやった!桜、偉いぞ!!」
桜は何が "よくやった" のか分からなかったが微笑む先生が見つめる前で杏寿郎に頭を撫でられながら嬉しそうに笑った。
病院を出て車に乗り込むと 桜は急いで両方の両親にメッセージで性別を伝える。
するとすぐにスマホがブルブルと何度も震えた。