第93章 念願の
杏「只今帰りました!!桜は良い子にしているか!!!」
「あっ」
桜が反応して立ち上がるどころか返事をするよりも前に 仕事を終えた杏寿郎がそれを防ぐかの様な速さで居間へ入ってくる。
そして桜がきちんと座っているのを確認するとパッと眩い笑顔を浮かべた。
「ふふ。杏寿郎さん、お帰りなさい。」
千「兄上、お帰りなさい。」
杏「うむ!千寿郎、桜を守ってくれてありがとう!!では手洗いうがいをしてくる!!!」
居間から出ると台所から出て来た瑠火が『まずは手洗いうがいを先になさい。』と言いながら拳を作って杏寿郎の額にこつんと当てていた。
桜は『すみません!!!』という杏寿郎の声を聞きながらまだ膨らんでいない腹を撫でる。
(どんな3人になるんだろう。杏寿郎さんみたいに声が大きいのかな。)
桜は所謂 二卵性品胎、二卵性の三つ子を身篭っている。
つまり 2人は一卵性双生児の様にそっくりだが、もう1人は他の兄弟と変わらず 2人とは性別も異なる可能性があるのだ。
(女の子なら私に似るのかな。……眉毛はどうなるんだろう…。)
そう思いながら眉毛の太い女の子を想像して桜は少し深刻そうな顔をする。