第93章 念願の
それを見て杏寿郎は満足そうに にこっと笑い、するりと腹を撫でた。
同時に桜の体がビクッと跳ねる。
杏「あちらでは何度も中に出していたが漸く君と本当に繋がれるな。今日は何度愛そうか。目的に子作りも入るとなると3度では…、」
「きょ、杏寿郎さん…!続きは帰ってから話しましょう!」
具体的に話し始めた杏寿郎を何とか止めたくて 腹を撫でていた手を掴み、桜は目を瞑って赤くなりながらそう懇願した。
すると杏寿郎はぴたりと動きを止めて無防備な桜にキスをする。
そうされて桜がハッとして目を開けると杏寿郎はもうエンジンをかけて前を向いていた。
(ずるい……。)
そうして桜は『子供が出来るまで翻弄され続けるのだろうか、それとも無自覚なのだろうか』と眉を寄せたのだった。
―――
杏「桜、もっとこっちへおいで。」
「は、い……。」
ベッドの中、少しだけ距離を取ってしまっていた桜は杏寿郎に言われて初めてそれを自覚し、思い切ったように胸に手を当ててくっつく。
杏「……怖いのか。」
「い、いえ。……なんとなく、今までと違うことをするのだと思うと身構えてしまって…。」
それを聞いて杏寿郎は少し微笑ましそうに笑い、胸に置かれた小さな手を自身の背に回した。