第91章 流れる月日
それから残りの煉獄家の3人が到着すると、一ノ瀬屋が無くなった事を知らなかった槇寿郎と千寿郎が驚き、勇之はそれに食い付き、勇之は漸く煉獄家の人間とまともな会話を出来たのだった。
由「お蕎麦と言ったら、」
瑠「やっぱり、」
由&瑠「「鴨せいろですよね。」」
(この2人随分と仲良くなってる…。)
にこにこと微笑み合う2人を見てどこか疎外感を感じた桜はいそいそとエプロンを身に着ける。
すると瑠火がこちらを見て首を傾げた。
瑠「桜さん、杏寿郎が贈った白いふりふりのエプロンはどうしたのです。ああいった物は使わねば意味がありませんよ。」
由「ふりふり?」
「あ、あれは…プレゼントがお家で使う物が多かったので杏寿郎さんが一度持ち帰られて…、」
瑠「そうですか…残念です。」
(な、なんで知ってらっしゃるんだろう…。)
それは杏寿郎が質問された際 明け透けにプレゼントについて家族に話したからであったが、桜は可愛らしいエプロンをプレゼントされた事については少しばかりこそばゆい気持ちになった。
それから3人は年越し蕎麦を用意し、皆は早めに食べ終えると裏山へ登る為に揃って一ノ瀬家を出た。
槇「癒猫様の姿は見られないんだったな。」
「…おそらくはそうです。私は見えるのですが杏寿郎さんにも見えませんでした。」
千「残念です。」
勇「そうか…一ノ瀬屋に来たという事は槇寿郎さんと千寿郎くんも癒猫様の姿を見た事があるのか…。」
呆然とする勇之に2人は頷く。
そんな話をしながら階段を登り切ると既に年明けと共に初詣をしようとする人々の行列が出来ていた。