第91章 流れる月日
杏(『年越しをして初詣をしたらそのまま初日の出を見ませんか?よければその時、もみくちゃにされないように杏寿郎さんに抱っこしてもらいたいのですが可能ですか?』……か。)
杏寿郎は昨晩の事を忘れ、『勿論だ。頼まれなくともしただろう。』とだけ返す。
するとすぐに『ありがとうございます!』と返事が来て会話が終わってしまった。
杏「よもや…。」
杏(普通こういった連絡は女性が気にするものなのではないのか。俺が気にし過ぎなのだろうか。)
杏寿郎は頭を抱えると天元に相談のメッセージを送った。
「杏寿郎さん、快諾してくれたよー。頼まれなくてもしただろうって。」
桜が嬉しそうに報告すると由梨も桜と似たふわふわとした笑みを返す。
由「あらあら。杏寿郎さんはきっと電車でも守ってくれるタイプね。」
「うん。前に乗った時 助けてくれたよ。満員電車だったのに他の人とは指1本も触れ合わなかったの。その後 結局途中で降りて『気が休まらないからタクシーで帰ろう』って言ったくらいだよ。」
由「まあ……。」
勇「……………………。」
杏寿郎の予想を超える過保護っぷりに2人は目を丸くさせた。
そうして両親と会話したり食事をとったりして過ごしていると あっという間に寝る時間となり、桜はスマホをチェックしないまま肌着に顔を埋めて眠りに就いた。
一方、杏寿郎は桜が食い付きそうな千寿郎の写真を送ったにも関わらず返事が来ず 眉尻を下げながら布団に入った。