第91章 流れる月日
「こんなに…。ありがとうございます。」
桜は纏う空気をパッと変え、ふわふわとした笑顔を浮かべながら小さめの紙袋を開く。
出てきたのは揃いの箸と茶碗だ。
「わあ!夫婦茶碗!!」
由梨の予想通り桜は心底嬉しそうで幸せそうな顔を杏寿郎に向けた。
「お箸もお揃いだ…。嬉しいです。夫婦なんだなあ……。」
杏寿郎はそれ等を目を細めて見つめる桜の頭をそっと撫でる。
杏「喜んで貰えて良かった。俺にとっても嬉しいものばかり選んでしまったんだ。他にも、」
「あ!ネタバレはなしですよ。えっと…、」
桜の手は杏寿郎の口を押さえた後 紙袋の上を迷う様に往復した。
「これにします。」
そう言って手に取った紙袋を開けると入っていたのはこれまた揃いのパジャマだった。
桜は手に取って抱き締めるとふにゃっとした笑みを浮かべる。
「ふふ、これからの生活がどんどん楽しみになります。ありがとうございます。」
杏「そうか。」
嬉しそうに目を細める杏寿郎に桜はパジャマをあてて『杏寿郎さんは何を着ても似合いますね。』と真剣な顔で呟いた。
そして大事そうに再び袋に戻すと3つ目の紙袋に手を伸ばす。