第91章 流れる月日
それから2人は一ノ瀬家へ戻り、由梨がご馳走の準備をしている間 勇之と3人で何気ない話をしたり、杏寿郎は勇之の要望のもと呼吸を使いながら素振りをし 勇之の顔色を悪くさせたりしながら過ごした。
ご馳走は桜の好きな白身魚や魚介類を多く使った和食で、まるで海の近くの旅館のようなメニューであった。
杏「うまい…!うまい…!」
杏寿郎は静かモードの『うまい』を繰り返し始めると会話が出来なくなり、首を傾げる勇之と由梨に桜が杏寿郎のこの癖について説明をした。
由「あらあら、可愛らしいわねえ。作り甲斐があるわ。」
勇「どこを見ているんだ…。」
「うーん…多分どこも見てないと思う。」
桜含めた3人はそんな会話をして杏寿郎の顔を観察したり、由梨の腕前を絶賛したりしながら食を進めた。
夕飯を食べ終わると間もなくパティシエ顔負けの由梨お手製ケーキが登場し、杏寿郎は桜に『桜はお母様の影響を受けているのだな。』と言った。
「そうですね。私ができる事は母にもできる事です。」
由「あら、私はお箏を弾けないし、フルートも吹けないわよ。」
「そうだけど…、」
由梨はそう言いながら長いろうそくを2本、短いろうそくを3本立て、火をつけると電気を消す。