第91章 流れる月日
「私は年上版の杏寿郎さんには甘やかされて導いてもらってばかりだよ。お母さんみたいに出来る気がしないや…。」
由「付き合い方は人それぞれよ。桜達はそれで成り立っているんだからそれでいいの。杏寿郎さんは普通の29歳の男性よりもずっと人生経験が豊富なのでしょう?」
そう言われると桜は少し笑って頷く。
由梨は切り分けたパウンドケーキを皿に乗せ、桜が淹れた紅茶とコーヒーを盆に乗せると 持つ前に桜の頭を優しく撫でた。
由「何より愛されているわ。 "釣った魚に餌をやらない" なんて男性もいるけれど杏寿郎さんは桜に何でも食べさせてしまいそうね。桜もそれに胡座をかくような娘じゃない。だからお母さんには2人が上手くやっていく未来しか見えないわ。安心しなさい。」
「……うん、お母さんありがとう。」
2度目の結婚であったが初めて母親から貰った言葉に桜は思わず涙が出そうになってしまったのだった。
それから由梨に興味本位で候補になった式場について訊かれると 2人はそれぞれのホームページを見せ、勇之の意見を流しつつも和やかに会話をした。
―――
「ユキに挨拶しに行きたいのですが杏寿郎さん一緒に来てくれませんか。」
杏「勿論良いぞ!俺達についての報告だろう!!」
『遠慮するな』と言うように頭をぽんぽんと撫でられると桜はパッと顔色を明るくさせて頷く。