第91章 流れる月日
勇「それで式はいつ挙げるつもりなんだ?」
杏「来月半ばから式場選びを始め、決まれば半年程後の日を押さえる予定です!!」
帰ると由梨に何か言われたのかすっかりと持ち直した勇之は杏寿郎に結婚式についてやたらと質問をしてきた。
「…………………。」
勇「ドレスは私が選ぼう。式場が決まったらその後の打ち合わせには私も一緒に…、」
由「普通は花嫁と花婿さんが選ぶものですよ。あなたは楽しみに待っていてください。」
勇「うぐ……。」
そのやり取りを見て、桜と杏寿郎は以前に由梨が『どうせすぐにウェディングドレス姿見たさに式を楽しみにするようになる』と言ったのを思い出した。
杏「露出の少ない清楚なものを選ぶ予定です!安心してください!!」
勇「ああ…、背中や胸元が開いているのは絶対に…、」
由「勇之さん。」
由梨が再び諌めるような冷たい声色を出すと勇之はやっと口を噤んだ。
「露出が高いものを選ぶつもりはないよ。安心して。」
桜は勇之が調子を取り戻してくれた事にほっとしてそう伝えると 先程食べ損なった手土産を出す準備をしに由梨とキッチンへ引っ込む。
「お母さん、ありがとう。お父さんずっと落ち込んじゃってるかと思ったよ。」
由「お父さんは決まるまでは駄々をこねるけど決まってしまえば案外切り替えられる人なのよ。今回は少し諭さなければならなかったけどね。」
そう言って由梨が少し悪戯っぽい笑みを浮かべると桜は感心して目を丸くさせた。