第90章 行動が早い男
杏「うむ、やはり似合うな。鏡で見てきてご覧。」
その言葉に桜は返事を忘れて頷くと寝室にあるドレッサーへと急ぐ。
杏寿郎は桜が転んでもすぐに支えられるようにと後を追いながら微笑んだ。
「わあ…っ、可愛い……!」
杏「気に入ってもらえて何よりだ。ではもう2つのプレゼントを渡させてくれ。」
「え!まだあるのですか?」
そう訊かれると杏寿郎は目を丸くする。
杏「君だって複数個くれたろう。今回君は俺を怒れないぞ。」
「あ…ぅ、」
そう言って杏寿郎はクローゼットに隠してあった袋を取り出した。
杏「ブレスレットと君に似合いそうな服だ。」
桜と同じく3つのプレゼントを用意してきた杏寿郎に桜は少し困った様な笑みを向ける。
しかし包みを開けてすぐに目をパッと輝かせた。
ブレスレットはネックレスと揃いになっており、とても愛らしい。
服は和服であり、五つの紋が入った最上級の格があるどこへ着ていっても恥ずかしくない色留袖であった。
そして家紋は煉獄家の家紋、篝火だ。
杏「色は迷ったのだが暖かな色が君らしいと思って淡い黄色…クリーム色というのだろうか。こちらにしたんだ。」
「とっても素敵です…。家紋も煉獄家の……。」
杏「うむ!明日にはもう君は煉獄 桜となるのでな!!」
桜は勇之が29日の間に証人欄を埋めてくれるか少し自信がなかったがその言葉にただただ微笑んだのだった。
そして、2人は幸せな気分のまま眠りに就いた。