第90章 行動が早い男
そして29日に日付けが変わる。
杏寿郎と桜は起きていて、日付けが変わったその瞬間に杏寿郎は祝いの言葉を述べて額にキスを落とした。
杏「ちょっと待っていてくれ。」
「はい。」
優しい表情の杏寿郎に桜も柔らかい表情を見せる。
杏寿郎が席を立った瞬間、桜のスマホが鳴り 親や友人からの祝いのメッセージが届いた。
桜がそれに返事をしていると杏寿郎が戻ってくる。
杏「妬けるな。今は少し2人きりにさせてくれ。」
そう言いながら桜の隣に座って杏寿郎は紙袋を手渡した。
杏「改めておめでとう。指輪の代わりに使ってくれ。」
(指輪……ネックレスにしてる結婚指輪の代わりにって事はネックレスかな……?)
そう思った桜の予想通り、杏寿郎が選んだプレゼントは繊細なチェーンに揺れるハートのモチーフに石が散らばっている愛らしいネックレスだった。
「……すごく可愛いです…………。」
桜は目を輝かせながらそれを見つめる。
あまりにも熱心に見続けるので杏寿郎は可笑しそうに笑ってそれを手に取り桜につけてやった。