第90章 行動が早い男
女「では式場見学は1月の半ばからにしましょう。なるべく1日に2つの式場を纏めて回れるように予定を立てますね。」
「は、はい……。」
杏「なかなかにハイペースだな!」
そう言う杏寿郎は楽しそうだ。
そしてスタッフは唯一2人が空いている日曜日でなんとか都合をつけようと頑張りだした。
女「少し電話して参ります。」
そう言って笑顔でぺこりとお辞儀をして退出するスタッフを見送ると桜は はたと我に返る。
「結婚式は準備が大変だからしばらくはだめって言ったじゃないですか!」
式場を6つもピックアップさせられるまで流された後にそう言われると杏寿郎は目を大きくさせた後 愉快そうに笑った。
杏「仕事にはもう随分と慣れたろう!そして今気が付いたのか!!」
「う……。不覚です。」
悔しそうな顔をする桜の頭を杏寿郎は目を細めて撫でる。
杏「俺がサポートする、安心してくれ。それに式の日程まではまだ決めていないんだ。日にちに関してはあまり近すぎないようにすると約束する。」
「決める時は相談してくださいね。杏寿郎さん、籍を入れる日も今日の予定も勝手に決めちゃったって自覚してますか?」
そう問われると杏寿郎は口角をきゅっと上げたまま黙り込んだ。
「もう。私だって楽しみなんですからね。共有させて下さい。」
杏「そうか!分かった!!」
杏寿郎が良い笑顔で返事をするとスタッフが戻って来て式場見学の日程について都合がついた事を報せた。