第90章 行動が早い男
女「煉獄様、お待ちしておりました。」
杏「うむ!よろしくお願いします!!」
「よ、よろしくお願いします…!」
理想の式など何も考えてきていなかった桜は少し気後れしながら席に着いた。
女「ではこちらの紙にご記入お願いします。お飲み物をご用意しますが焙じ茶、ルイボスティー、ダージリン、ローズヒップティー、カモミールティーの中ですとどちらが宜しいでしょうか。」
「あ……、2人とも焙じ茶でお願いします。」
桜は知らない茶の名前にフリーズした杏寿郎の分も頼むと女性スタッフを見送る。
「希望のスタイルかあ…。私、クラシカルな雰囲気がいいです。歴史ある教会とか、古いホテルで挙げるのも素敵かもしれませんね。披露宴会場への移動も楽ですし…。」
そう言いながら希望する雰囲気に丸を付けると返事の無い杏寿郎を見上げた。
見ると杏寿郎はもうペンを置いている。
「えっ、もう書き終わったんですか?」
杏「それが俺の希望だ。」
そう言って視線を落としたのはやはり桜の用紙であった。
それを聞くと桜は少し困ったように首を傾げる。
「少しも希望ないんですか?2人で決めましょう。」
杏「ウェディングドレスは俺にも選ばせて貰いたいが 式場に関しては本当に君の気に入った所が俺の希望だ。」
そんな話をしているとスタッフがお茶を持って戻ってくる。