第90章 行動が早い男
職「ではこちらになります。」
「ありがとうございます。」
2人はお昼過ぎまでに無事書類を揃えると外で遅めの昼を食べた。
(煉獄 桜か…。大正時代でも馴染みきらなくて一ノ瀬って名乗ったりしちゃってたなあ。これからはカナエ先生みたいに桜先生って呼ばれるのかな。それとも職場では一ノ瀬として過ごすのかな……。)
「杏寿郎さん。杏寿郎さんは私が桜先生って呼ばれるのと一ノ瀬先生って呼ばれるの、どちらが良いですか?」
帰りの車の中でふと思いついた疑問を投げかける。
杏「……………………………………。」
すると名字は煉獄でいて欲しかったが、下の名を皆に呼ばれるのは面白くないと思った杏寿郎は黙り込んでしまった。
杏「……煉獄先生だな。」
「え…でも煉獄先生が2人になっちゃいます……。」
そう桜が当たり前の事を言うと、杏寿郎は言い訳を考える。
杏「だが教師は教え導く立場だ。いくら親しくなろうとも下の名を呼ばせるのは正しくないだろう。」
「…カナエ先生は呼ばれてますよ。でも杏寿郎さんは嫌なんですね。ではやっぱり今まで通り一ノ瀬先生って呼んでもらうのが1番い、」
杏「正しくない名を生徒に呼ばせるのもどうかと思う。カナエ先生は不死川が『紛らわしくなければ良い、好きに呼べ。』と言って許可しただけだ。だが俺は許可するつもりはない。」
「………このお話はまた後でしましょうか…。」
杏寿郎が今意見を変えるとは思えなかった桜はそう言ってその話題を終わらせた。