第90章 行動が早い男
「わああーーっ」
レストランから出て少し歩くと東京駅前から伸びる道の街路樹に光が灯っているのを発見し、桜は思わず走り出した。
杏寿郎はすぐに追い掛けて案の定転びそうになった桜を抱き留める。
「杏寿郎さん!あんなにたくさんの木が光ってる!!」
杏「うむ、そうだな!だが走っては駄目だぞ。」
杏寿郎はそう言いながら桜をきちんと立たせると手をしっかりと繋いだ。
しかし興奮気味の桜はあまり注意を聞いていない様子であった為 困った様に微笑む。
杏「昼に言ったように上に登ろうか。君がああいったイルミネーションを好むのならもっと相応しい場所があるので上から見渡したらそちらへ行こう。」
「はい!!」
それから2人は駅前を上から暫く眺め、桜が満足したところで丸の内仲通りへと向かった。
杏「先程ので驚いていた桜がどのような反応をするのか楽しみだな。」
「え……そんなに違うのですか?」
杏「うむ!そうだな、少し目を閉じていてくれ!!」
杏寿郎はそう言うと向かい合ってから桜の尻を腕に乗せ もう片方の手を背中に回し、縦に抱き上げる。
杏「これなら周りの人の迷惑にもなるまい!!」
桜は杏寿郎の後ろを歩く人と目が合う前に赤くなりながら両手で顔を覆った。