第90章 行動が早い男
そうして暫くぶらぶらとした後 杏寿郎達はスパへと向かった。
「トレーニング室もあるのですね…。杏寿郎さん、やりたいのではないですか?」
杏「…だが君は退屈だろう。別行動は避けたいぞ。」
「ではトレーニングをする杏寿郎さんを見てから岩盤浴へ行ってシャワーを浴びてから出ましょう!」
桜がそう提案すると杏寿郎は礼を言うように桜の頭を撫でてからウェアのレンタルをした。
「筋トレマシン壊しちゃだめですよ。」
杏「むぅ。扱いが難しいな。やはりランニングにしよう。」
しかし杏寿郎は既に長距離だろうととても速く走ることが出来る。
ランニングマシンを最速にしても杏寿郎は何とも言えない表情をしていた。
杏「呼吸を会得していなければ丁度良かったのだろうが…。」
「ウェア代がもったいないですが岩盤浴へ行きましょうか…?」
杏「うむ。どうやら俺には合わなかったようだ。」
桜は『強すぎるのも大変なんだなあ。』と思いつつ 貰った館内着に着替える。
そして更衣室の出口で待っていてくれた杏寿郎の元へ駆け寄ると長居出来るように暑すぎない岩盤浴の部屋へと向かった。
部屋の中では私語厳禁であり、尚且つ顔部分には衝立がある。
杏寿郎達はどちらともなく手を伸ばすと きゅっと互いの手を握った。
そしてヒーリング音楽が流れる中、2人はクリスマスに岩盤浴という奇妙でゆっくりとした時間を過ごした。