第90章 行動が早い男
「わあ!ありがとうございます!よかったあ…。」
桜はそう元凶の男に感謝を述べながらその服を受け取った。
杏「朝食は同フロアにある宿泊客だけが入れる場所で頂けるとの事だ。空気ものんびりしていそうだな!」
「はい!」
桜は手早く顔を洗って着替えると同じく着替えた杏寿郎の手を握る。
杏「うむ。やはりよく似合う。酷く愛らしいな。」
「ありがとうございます…。杏寿郎さんも相変わらず格好いいです。」
杏寿郎の服はいつも通りとてもシンプルで、尚且つジャケットを合わせたフォーマルなものだ。
杏寿郎は桜の手を優しく握り返すと微笑んでから部屋を出た。
朝食はビュッフェ形式であった為、杏寿郎は他の客の分まで取らないようにと随分我慢をしながら食べていた。
いつもより長い時間を掛けて腹を満たすと、再び部屋へ戻って歯を磨き リビングのソファでのんびりする。
杏「……プロポーズは少し失敗してしまったが満足して頂けただろうか。」
「ふふ、これ以上ない程に幸せです。全部全部とっても嬉しくて大切な思い出になりました。」
杏「そうか!それは良かった!!」
杏寿郎は眩い笑顔を浮かべると桜の頬を優しく撫でた。
そして予定通り正午にチェックアウトをすると2人は電車には乗らず、そのまま丸の内方面へ出る。