第90章 行動が早い男
「…………ん、」
杏「おはよう!!君が後に起きるのは珍しいな!!!」
「きょうじゅろさん……。」
桜は少しぽーっとしながら周りを見渡した後 状況を把握しパチッと目を覚した。
「おはようございます!」
杏「うむ!!良い朝だな!!!」
杏寿郎は桜を抱き寄せると頭に頬擦りをする。
その腹の虫は盛大に鳴いていた。
「す、すみません…!すぐご飯食べにいきましょう!……あ、でも首が…………、」
その言葉を聞くと杏寿郎は桜から体を離して慌てている顔を覗き込む。
杏(昨夜一緒にいる時は鏡を見せないように徹底していた筈だが…、)
杏「なるほど、夜中に目を覚ましてしまったから君にしては遅い目覚めであったのだな。眠くはないか。まだゆっくりしていても良いのだぞ。」
それを聞くと桜は急いで首を横に振った。
「本当に眠くはないです。それより早く食べないと杏寿郎さんが…、首をなんとかしないと……、どうしよう……。」
杏「流石に何の案も無しに君の首に齧り付いた訳ではないぞ。」
そう言いながらベッドを降りると 珍しく持ってきていた鞄から桜の服を取り出す。
それは首をしっかりと覆える白いフリルの立ち襟ブラウスに冬の空のように真っ青な色の膝丈スカートであった。
カーディガンとタイツはブラウスのリボンタイと同じ色の黒である。