第89章 ※漸く訪れた一夜
杏「今日はもう寝よう。」
「…………はい……。」
杏寿郎はテレビを消すと瞼が上がりきっていない桜を抱えて洗面台へ行き、並んで歯を磨いてからベッドへと向かった。
「杏寿郎さん……。」
就寝の挨拶をしようとした時に甘い声で呼ばれると杏寿郎は驚いて目を大きくさせた。
杏「……眠いのではないのか。」
その言葉に桜は複雑そうな顔をする。
「他の時間にどれだけしていてもこの時間には愛し合うのが普通なんですよね?」
杏「……確かにそう、教えたが…………。」
桜は既にその気であり、杏寿郎自身もまだまだ元気は有り余っている。
それに加えて桜に誘われたとなれば杏寿郎は更に色々と元気になってしまう。
杏「無理はしていないんだな。」
「してないです。……だめなんですか…?」
どうしてすんなりと抱いてくれないのか分からなかった桜が少し泣きそうな顔をすると、杏寿郎は堪らず桜に覆い被さって深いキスをした。
それが開始の合図だと悟った桜は目を瞑って杏寿郎を受け入れたのだった。
その夜は結局合計で6回体を重ね、最後に再びシャワーを浴びた。