第89章 ※漸く訪れた一夜
杏「ありがとう。だがあまり気にしなくて良いんだぞ。」
「慣れてください。」
桜は少しだけ注いでもらうと礼を言う。
杏「では喜ばしい節目に乾杯しよう。」
「はい!」
2人は微笑み合うとグラスを近付けた。
「ん!んん!?」
杏「飲めそうか!!」
桜の戸惑ったような嬉しそうな声色から杏寿郎も目を輝かせる。
「…………美味しい!です!!」
桜はそう言うとお代わりを求めるようにグラスを差し出した。
しかし杏寿郎はそれに応じずに席を立ってジュースを持ってくる。
杏「舌に合って良かった。だが間にノンアルコールを挟んでくれ。」
「あ……はい!」
桜は普段 無意識下でも必ずアルコールとノンアルコールは交互に飲むように徹底していた為、杏寿郎が居る事でどれだけ気が緩んでいるのかを再確認してしまった。
それを伝えると杏寿郎は心配そうな顔から嬉しそうな穏やかな顔へと変わった。
杏「そうか。俺の居ない場で潰れたら…という考えは杞憂であったのだな。」
2人は暫くそこでのんびりしていたが、時間も遅くなってくると桜がうとうとしだしてしまう。