第88章 関係の名称
杏寿郎は周りが気にならない程に隙無く話題を振り続けた。
すると桜は杏寿郎に集中するようになり、2人が2人だけの世界で話をしていると杏寿郎単体、桜単体で見ていた周りが2人をセットで見るようになる。
そしてただただ "似合いのカップル" として認識されるようになると、男女共に好かれる2人は周りに負の感情を持たせる事無く過ごす事が出来たのだった。
杏(何故かは分からないが嫌な視線が無くなったな。)
「まだ行き先を教えてくれないのですか?」
杏「む、もうすぐ着くぞ。」
その日、2人は車ではなく電車で移動していた。
そして今はとある駅で下りた街を歩いていたところだ。
杏寿郎が指し示した先には巨大なドームのある大きな公園のような場所であった。
「……公園、でしょうか?」
桜は不思議そうな声を出したが杏寿郎は何も答えない。
ただ微笑みながら特別に開館時間が延びているその園の入り口へ向かい、入園料を支払った。
杏「色々なコーナーがあるのだが 今日は行く場所が決まっているんだ。桜、 "約束" だ。覚えているだろうか。」
「約束……。」
(ドーム……、温室。約束…暖かい季節の約束……?桜はもう見たし…、)