第3章 新しい世界
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(……………。)
桜は、自分が目をぎゅっと瞑っているのだと気が付く。
(……………?)
(目を…閉じてる?…感覚があるって…どういう事だろう……死んだんじゃ…。)
そう困惑しながらも、おそるおそると目を開ける。
そこは日本家屋の庭のようだった。
(川…は、どこ……?…ここは…………??)
さらに体に違和感を感じ、自身を見下ろすと立派な白い毛が目に入る。
「綺麗…ユキみたい……。」
手も足も猫の様だった。
体もかなり大きい。
何もかもが非現実的で、ぼーっとしてると家の方からドタン!という物音が聞こえた。
「…っ!!」
突然の大きな音に桜は体をビクッと震わせ、咄嗟に姿勢を低くする。
だが、庭の真ん中にいたため近くに隠れる場所がなかった。
おそるおそる家の方を見ると、変わった毛色の少年がこちらを見ながら尻もちをついていた。
まるで燃える炎のような色をした髪の毛は風に当たるとそよぎ、柔らかそうだった。
目は大きく開き、太めの眉はハの字になってしまっている。