第88章 関係の名称
杏(やはり事件を終わらせられた今年は特別であるし、お父様の仰る通り みのる君を含めた4人が揃う此処で祝うのが良いのかも知れないな。正直なところ誕生日にプロポーズをしようとしていたのだが止めにしよう。)
杏「こちらで開かれる29日のお誕生日会に俺も招いて頂く事は可能でしょうか。」
「……え?」
由「…………まあ。」
勇「良いとも!!」
そうして2人きりで過ごすと思っていた桜と由梨を余所に桜の誕生日会の会場は一ノ瀬家と決まってしまったのだった。
杏(女性皆がサプライズ好きという訳では無いのだな。『引かれる場合もアリ』か。桜は……何でも喜んでくれそうだが 恥ずかしがりなので目立つものは避けた方が良いだろう。……となると………、)
ベッドでもスマホを弄る時間がグッと増えた杏寿郎を桜は眉を寄せて見つめる。
気持ちに気付いてもらおうと肩に噛み付いてみても杏寿郎は片手で桜の頭を宥めるように撫でるだけだった。
(むぅ。)
桜は自身について悩んでくれているのかも知れないと分かりつつも1時間も経つとついに拗ねてしまい、『おトイレ。』と言いながらベッドを抜け出し、ブランケットを被りながらソファへと横になった。
そこで眠るつもりまでは無かったのだが、『2人で居て寂しく感じるよりはずっといい。』と思うと意固地になってそこから離れられなくなり、寒さからきゅっと猫のように丸く縮こまるとそのまま寝てしまったのだった。