第87章 穏やかな生活
杏「確かに俺は目立つ風貌をしているが周りの目はいつも通りだと思うぞ。」
それを聞くと桜は杏寿郎を軽く睨みながら手で小さくメガホンを作って口に当てた。
杏寿郎は首を傾げた後 それに耳を寄せる。
「2個隣の女性が杏寿郎さんのこと見てます。……面白くありません。」
それを聞くと杏寿郎はパッと視線を桜の横へ遣る。
(あっ、もう…こっそり話した意味が……、)
杏「そんな事を気にしていたのか。」
チラッと横を盗み見ると目が合った為か女性は顔を赤くして俯いていた。
「そんな事って…逆だったらどう思いますか?」
桜の言葉を聞いて想像をした杏寿郎は眉を顰める。
杏「耐え難いな!やはり駄目だ!!」
「杏寿郎さんが一緒にいる時は好きに歩いていいって言われました。」
杏「すまないが今は独占欲が強くなっている。許してくれ。」
よく通る声でそんな話をしていると向かいの席に座る若い男達が『ああいうの言ってる奴らって結構ブサイクカップルだったりするんだよな。』と笑い始めた。