第87章 穏やかな生活
杏「まだだ。この時代では色々と時間を要するようでな。だが必ず果たすぞ。そうしたらまた報告に来よう。」
ユキが夫婦の事を "番い" と呼ぶことを知っていた杏寿郎はユキの問いにきちんと答えることが出来た。
一方、勇之と由梨は首を傾げている。
由「何の話かしら。」
杏「今のは俺達が、」
「い、言わなくていいんです!」
桜にぐいぐいと腕を引っ張られても微動だにしない杏寿郎は由梨から視線を外して困った様に桜を見つめた。
杏「申し訳ありません。桜さんが嫌がっていますので言えません。」
桜を優先してきっぱりと断ると由梨は逆に喜んだ顔をする。
由「分かったわ!教えられる時がきたら教えてねー。」
杏「はい!!」
一方、桜の赤い顔を見ているうちに予想がついてしまった勇之は少し項垂れた。
そのまま4人は上まで登って参拝し、帰ってから漸く朝ご飯の支度を始めたのだった。
由「杏寿郎さんと一緒に料理したりもするの?最近は男の子も料理をするのでしょう?」
台所から聞こえてくる母娘の会話はリビングでソファに座っている男性陣の方まで聞こえてくる。
勇之は思わず杏寿郎の方を向いた。