第87章 穏やかな生活
「杏寿郎さんもお父さんもありがとう…。」
それを聞くと勇之は杏寿郎より早く『娘の心配をするのは当たり前だろう。』と言った。
勇「それにしても犯人に少しくらい恨み言を言いたかったのだが全く起きなかったな。どれだけ強く蹴ったんだ。」
「ほんと軽くだよ。杏寿郎さん今とっても強くなっちゃってるから…。だからお父さん、来月の試合はやめた方が良いと思う。杏寿郎さん真剣になると周りの声聞こえなくなるし…。その、死んじゃうかも。」
杏「流石にそんな事はないぞ。甘露寺の事も癸、1番下の階級の時から面倒を見ていたが命に関わるような怪我をさせた事は一度もないし、きちんと女性だという事も忘れていなかった。君は俺を何だと思っているんだ。」
「父は男ですし、真剣な試合となれば稽古とは違ってきます。柱の方と戦うような気持ちでは死んでしまいますよ。手を抜けますか?」
杏「………………………………。」
黙ってしまった杏寿郎に勇之は青ざめ、試合については保留となったのだった。
―――
桜の実家に着くと杏寿郎は『友人に報告をしてから中へ入ります。』と言い、再び天元に電話を掛けた。
そしてレコーダーにあった細田の証言を伝え、ミスコンの画像入手の件についても太田は全て無関係であった事を伝えた。