第87章 穏やかな生活
「頭を上げてください…体が痛くなってしまいますよ…。蜜璃ちゃん達から離れたのは私の判断ですし、杏寿郎さんの徹底ぶりは見事でした。隙がなかったと思います。」
杏「だが守ると言っておきながらも実際はとても危険な目に遭わせた。この結果が重要な事だろう。」
「ですからその結果は私に非があったからで、そもそも杏寿郎さんのせいでは、」
杏「どんな状況であろうとも約束は守るべきだ。」
勇「いや。」
言い合いになりつつあった2人に勇之が割って入る。
桜と由梨は勇之が杏寿郎の自責の言葉を否定したことに驚いて目を丸くした。
勇「………いや、杏寿郎君が桜の為にずっと動いてくれていたのは私もよく知っている。そんなに謝らなくて良い。」
「……え?」
勇「いくらセキュリティのしっかりした所に住んでいても、ひとり暮らしを続けていたら遅かれ早かれ犯人は手段を選ばずに手を出してきただろう。君が一緒に居なければ桜はまた1人でただただ監禁されていた。」
その言葉に驚いた由梨は運転する勇之を見つめた。
由「あなた、事件について杏寿郎さんとやり取りをしていたの?」
勇「……ああ。杏寿郎君から連絡を貰った。」
「私も知らなかったです…。」
杏「犯人から桜には言うなとメッセージで指示をされていたので言えなかったんだ、すまない。」
「そうだったんですね…それで最近…、」
その時桜は杏寿郎が最近スマホを長い間睨んでいたのは匿名のメッセージを読んでいたからなのだと悟った。