第86章 7年前のやり直し
杏寿郎は警察が到着するとその警察に名前と日時を言ってもらってから胸ポケットに入っているレコーダーを止めてもらった。
杏「太田についての細田の証言を録音しようと思って飲みの席から回していたのだが、犯人本人からの言葉を録音できるとは思わなかったな。」
「昔の事件についても詳細を語っていました。良かったです。」
杏「…そうか。辛かったな。」
机から剥してもらった杏寿郎が桜の頭を撫でていると真っ青な顔をした勇之と由梨がやって来た。警察に親子である事を伝えると 2人は駆け寄ってきて桜を抱き締めた。
(ああ、これも前に経験した。2人はあの時も真っ青な顔で……私だけ生き残ってしまったのに『桜が生きていてくれて良かった。』って何度も何度も……。)
「心配かけてごめんなさい。でも、もう大丈夫だよ。」
それに2人は『謝ることじゃない』『無事でよかった』と繰り返した。
そうして長い間 野放しになっていた細田という男は気絶したまま捕らえられ、漸く事件が解決したのだった。