第86章 7年前のやり直し
杏「取られていた俺のだな。すまない、出てくれるか。」
「は、はい!………もしもし?」
天『……………はああぁ……。』
掛けてきた天元は桜の抜けた声を聞くと深い溜息をついた。
杏「スピーカーにしてくれ。」
それに桜は頷くとスピーカーにして杏寿郎の方へ向けた。
杏「宇髄か。どうした。」
天『どうしたじゃねーよ!いまどこいんのお前ら!細田がおかしいんだよ。太田の話聞いてる時 動揺が無かったから白かと思ったんだが考えてみりゃ動揺が全くないのもおかし、』
杏「ああ!犯人本人だったぞ!!今は寝かせてある!!」
その言葉に一瞬静寂が訪れた後、天元は酷くむせた。
天『はぁ!?今どこいんだって!お前ら家に居ないしずっと電話してんのに出ねーし!!』
「ふふ、いい人だなあ。」
天『話が進まねぇな!どこかって訊いてんの!!』
そう問われても記憶がない。
杏寿郎が桜に視線を遣ると同じく眠っていた桜も急いで首を振った。
杏「すまないが分からないんだ。今地図で確かめてみる。警察にも連絡しなくてはな。立派な犯罪だ。」
天『分からない?え…なに、話し合いしてたんじゃなくてあの後2人仲良く拉致られたの?』
杏「うむ。俺は飲みの席で盛られたようで気が付いたら此処に居た。ちなみに今も縛り付けられている。」
「私は杏寿郎さんのスマホから『お財布忘れたからタクシー代立て替えて』ってメッセージが来たのでその車に近付いたらバチバチッと。」
天『はあ…。とりあえず居場所確認してすぐに警察呼べ。』
杏「うむ!!」
「ありがとうございます。」
そうして電話を切ると杏寿郎は言われた通りすぐに居場所を特定して天元に心配はない事を伝え、警察と桜の家族に連絡した。
警察は思ったよりも早く着いた。