第86章 7年前のやり直し
そう言われるとずっと黙っていた細田は堰を切ったように叫ぶような声色で想いを口に出した。
細「俺の初恋で!中学1年生の時からあの写真の桜ちゃんを想ってきたんだ!!大事に大事にその歳になるまで!守って!守って!!守らない大人の代わりに!暴力を振るう男達から俺は守ってきた!!桜ちゃんも分かっているはずだろう!俺だけが君を守れていた!!君だって少しは俺に誠実な対応をしてくれても良いんじゃないのか!!!」
「頼んでいません。」
桜は細田が問いかけてすぐに 初めて震えていない声を出した。
その芯の強い声色に杏寿郎は安心したような顔をする。
細「頼んでいない………?…あんな暴力を受けておいてそんな筈はない。嘘だ。いつも助けてほしそうな目を…、」
いつまでも自身の為を思いながら自身の意志を無視し続ける男を睨んで顔を歪めながら桜は近付いた。
「頼んでいない!!どこに弟を殺すような男を頼る姉がいる!!!私があの時愛していたのはあなたじゃない!!あなたが殺した弟だ!!!絶対に許さない!!許せない!!!」
桜は生まれて初めて使う荒い言葉遣いに加えて渾身の平手打ちを細田にお見舞いした。
すると桜がそんな口調を使い、暴力を振るった事に混乱した細田は『やっぱり弟は殺して正解だった、あれは桜ちゃんがおかしくなる元凶で、』と口走り始めたので杏寿郎が顎を蹴って脳を揺らし、気絶させた。
杏「………少し休んだら警察を呼ぼう。よく頑張ったな。」
その言葉を聞くと桜はやっとみのるの仇を捕まえられるのだと実感して再び泣き出したのだった。
そして暫く経って桜が泣き止むと細田の近くからコール音が響いた。