第15章 兄弟の想いが詰まった晩酌
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一方その頃、杏寿郎はいつもの笑みを浮かべて鬼を追っていた。
場所は路地裏、追いかける鬼は青年のような出で立ちだが 瞳孔は猫のように裂け、牙が伸びている。
鬼「柱が来るなんて…っ!俺は!ここでもっと人を喰って…っ…、」
そう言いながら、通りを抜けたところに酔っ払って寝ている男を見つけた。
途端に加速する鬼。
杏寿郎には足にベタベタと手形のようなものが付いており、それが足枷になっているのか いつもよりスピードが遅かった。
だが、鬼の行動を見た瞬間に笑みが消え、
―――ダンッ
という音と共に鬼の前へ移動し、伸ばした鬼の手に刃を振るった。
杏「炎の呼吸、弐ノ型――昇り炎天ッ!!」
すると鬼の腕は天高く飛ぶ。そして間髪入れず横に剣を振ると、技を使うこともなく鬼の首は刎ねられた。
鬼「……なっ…!」
首と同時にどちゃっと嫌な音を立てて腕が落ちる。
鬼「…っ!くそ!くそッ!!…お前が来なければ!お前さえ…っ……!」
杏寿郎は鬼の最期の恨み言を聞かず、先程の男性の前に座ると両手でガッと肩を持ち 激しく揺さぶる。
杏「起きて頂きたい!!貴方がここに座っていると心配で帰れない!!俺は千寿郎の握り飯を!一刻も早く!!食べたい!!!」
夜の住宅街に響く大きな声。
男はうっすら覚醒すると、至近距離にある大きな炎の色の目に驚き 後ろへ飛び退いた。
男「な、ななな…!あんた、何をっ!?」
先程の杏寿郎の大声に加え、その引き攣った声のせいで近くの家に明かりが灯る。
杏「む!これはいかんな!!失礼する!!!」
笑顔のままそう言うと杏寿郎はあっという間に見えなくなった。