第15章 兄弟の想いが詰まった晩酌
それから千寿郎がずっと温め直してくれていたお湯に浸かり、程よく酒が抜けると台所へ行きお水を飲んだ。
(千寿郎くん…ずっとこうして待ってたんだ……。)
桜は先程の千寿郎の顔を思い出した。
小さく体を揺らして泣いたあと上げた顔には、年相応の心からの笑顔が浮かんでいた。
桜は湯呑みを片付け、客間へ向かう。
(ユキ…私もユキの前でああいう涙ながしてたよね…。私が溜めたものを体の色みたいに真っ白にしてくれて…。)
そう思いながら畳に座ると、杏寿郎が任務へ出かける前に千寿郎に托してくれていた白石を胸に抱いた。
すると白石はじわっと温かくなった。