第86章 7年前のやり直し
(何かを酷く捻じ曲げて解釈してる…。話が通じそうにない。それより杏寿郎さんをどうにかしなきゃ。私を自分に譲ったと思っててもみのるのようにするに決まってる。)
「杏寿郎さん!!起きて!!!」
細「……睡眠薬を死ぬほど飲ませたから起きないよ。と言っても死なないんだけどね。睡眠薬は胃がいっぱいになるまで飲んでも死なないんだって。でも君の前で生きたまま刺して殺さなくちゃいけないから丁度良かった。でも俺だって本当はこんな事したくなかったんだよ。」
「じゃあもうやめてください…。杏寿郎さんに酷い事をしないで。」
桜の震える声を聞いて細田は首を傾げた。
細「俺は煉獄に怒っているわけではないんだよ。煉獄は桜ちゃんに暴力を振るったわけじゃないし良い奴だ。それに桜ちゃんは可愛いから判断を誤って人の物なのに手を出してしまったのも仕方ないと思ってる。でも、桜ちゃん。流石に下の名前は呼んじゃだめだよ。」
「…………………………。」
(私が幸せなら付き合っても許せるって言ってたけど、名前を呼ぶ以上のことをするとは思っていなかったの…?もし、他の事を知ったら…、)
桜はぞっとすると細田の思考について考えるのを止め、杏寿郎に視線を移した。
(睡眠薬……。すり潰したものを飲み物に入れられたのかな。寝付きを良くする物だけじゃなく中途覚醒を防ぐ物も飲まされていたのならいつ起きるか分からない。)
桜が自身を差し置いて杏寿郎を見つめていると細田は再び首を傾げた。