第86章 7年前のやり直し
金は男の親からの仕送りで全て賄った。
そうとなれば男が桜を攫い、バイトを辞めて仕送りで生活をしながら桜を監禁していたというシナリオはすぐに完成した。
男はガタイが良かった為、怪しまれない程度に周りと連絡をさせつつ厳重に監禁をした。
都合の良いことに男も桜の誘拐を考えていたのか 狭い家には人が入れる程大きな部屋のような箱が置いてあった。
それは工事の要らない防音室だった。
細「皮肉だよね。自分が入る事になるとは思っていなかっただろうな…。お陰で桜ちゃんに物音1つ聞かせなくて済んだけれどね。」
そう言って細田は安心させるような笑みを浮かべる。
桜はそれにただひたすら吐き気を催した。
後は杏寿郎が勇之や桜から聞いた通り、みのるを殺してしまった後 足がつきそうである事を悟った細田は濡れ衣を着せる為に春から買い揃えてあった物を使ってその男を生きたまま燃やした。
正確には自身で火を点けさせた。
そして男は苦しさから逃れるようにベランダから身を投げ命を落としたのだ。
その時の男は27歳、細田は21歳、桜は15歳だった。
細「俺が仕事で君を追えないでいる間に何があったの?披露宴で煉獄が君を彼女だと言った時 俺は彼に人生をめちゃくちゃにされたと思ったよ。それでも最初は君が幸せなら良いかなとも思った。」
(そうだ。この人は壊れているけれど、優しい部分もあった。それが逆に怖く感じたんだ。)
細「でもさ、煉獄に相談したら本人が言ったんだ。『細田の方が優しいから支えてあげられる。』って。煉獄もそう言ってるんだからさ、また一緒に暮らそう。ね?」
「……え…………………?」