第86章 7年前のやり直し
細「俺がどれだけ前から君を愛して尽してきたか、もう一度話をしようか。」
そう言うと細田は聞きたくもない自分語りを始めた。
細田が初めて桜の姿を見たのは彼が中学1年生の頃だった。
と言ってもそれは写真だ。
潜り込んだ煉獄家の蔵の中で見付けたアルバム。
そこに映る桜を見て一目惚れをした。
細「あの写真を見た瞬間、俺は精通したんだ。急いでその中の1枚を丁寧に取って持ち帰ったよ。君もそうして欲しそうにしていたしね。それからは毎晩毎晩君を見て、想像して、その写真を使いながら…、」
そこまで聞くと桜は耳を塞いだ。
(気持ち悪い…!!今は意味が分かってしまう……!)
その反応を見て細田も同じ事を考えていた。
細「まるで意味が分かっているかのような反応をするんだね。まあ、……気のせいだよね。」
そう呟くと再び口を開く。
細田は学校でカナエの存在を知った時少し動揺したが、雰囲気の違いに気が付いて杏寿郎や天元と同じく熱を上げなかった珍しい部類の人間だった。
話を合わせることはしていたが違和感は感じていたのだ。
違和感を感じつつも桜とは接点を持たないまま月日は流れ、太田と同じ大学へ進学した細田はレベルの高い大学へ進学した杏寿郎とはあまり会わなくなった。
そして写真は杏寿郎とカナエの先祖のものなのだろうかとぼんやり思うようになった矢先、とうとう桜を見付けたのだ。
それは細田がまだ大学1年生で、部活のOBとして母校を尋ねた時だった。
その時の桜はまだ中学1年生であったが、写真の人そのものだと細田は直感し、またもや見ただけで射精してしまったのであった。
そうして細田のストーカー生活が始まった。