第86章 7年前のやり直し
それを見ると桜は蜜璃と小芭内に『今日は本当にありがとうございました!』と頭を下げてから慌てて走り出した。
酔って恥ずかしい事を言う杏寿郎を見せたくなかったからだ。
それを分かっているのか小芭内も後を追わず、蜜璃は2人に合わせた。
蜜「また会おうね!」
小「杏寿郎にしばらく酒は禁止だと伝えてくれ。」
それに振り返ると桜は困った様な笑顔で頷く。
そして漸く車に辿り着いた。
「もう。杏寿郎さん!開けてくださ…、」
(うそ、寝ちゃってる…。2人に運んでもらわなきゃ。……あれ?運転手さんもいない。)
「杏寿郎さん…運転手さんは、」
細「1人で出歩いたらだめだよ。」
その声と共に桜の体は強い電流で痺れ、呆気無く意識を失ってしまった。
細田は桜を大事そうに自身にもたれ掛からせると後部座席のドアを開けてなんとか運び込み、きちんとシートベルトを付けさせた。
細「本当は逆が良かったんだけどね。遠目から運転席に人が居ないと分かるのは良くないと思ったんだ。」
運転席に乗り込むと細田はそう眠る桜に話し掛ける。
「さあ、約束の時間だよ。」
細田はそう言いながらエンジンをかけると倉庫がたくさんある人気のない場所を目指して車を走らせた。