第86章 7年前のやり直し
(いつもあんまり文にはしないのに…。本当に酔ってるんだなあ。)
「え………杏寿郎さん、歩けないみたいでタクシーで帰るらしいです。」
桜が驚いた声を出すと蜜璃も驚き、小芭内は呆れの溜息をつく。
小「宇髄にでも飲まされたのだろう。」
その言葉に女性陣は納得して『あー!』と声を上げた。
それから間もなく、静かになっていた桜のスマホが再び鳴る。
「……珍しいなあ…。お財布忘れちゃったから立て替えに来てほしいみたいです。もう下まで着いたそうで…。」
それを聞くと小芭内はまた溜息をついて早々に立ち上がった。
小「少し見損なったな。甘露寺、早く行こう。」
甘「あっ、はい!!」
(む……杏寿郎さんはこんな事初めてなのに…。)
そう思いながらも桜は急いで自身の財布を持って2人を追った。
「あ、あれですね。杏寿郎さんの髪の毛が見えます。」
エントランスから少しだけ離れた場所に停まっている車の中には確かに杏寿郎の姿がある。