第86章 7年前のやり直し
杏「勿体ぶるような話ではないだろう。早い方が良い。」
天「それは……まあ、そうだな。」
細「…………一体どうしたんだよ。」
2人の真剣な様子を見て気の弱い細田は心配そうな顔をした。
杏寿郎はそんな細田の顔をしっかりと見つめながら丁寧に太田が前々から桜を知っていた事、ミスコンの画像を金を使って入手していた事、過去の事件の真犯人と思しき男から今メッセージが届いていること、そして桜が太田の画像に酷い反応を見せた事を伝えた。
天(心配はしているみてーだが動揺は全くしてねぇな。こいつは本当に無関係か。)
全てを聞き終えると細田は困った様に2人を見つめる。
細「つまり、太田がその犯人だと……?」
杏「疑いたくはないが客観的に見ればそう考えるのが普通だろう。そこで訊きたいのだが君は太田と同じ大学だったろう。1年近く学校を休んでいた時期はなかったか。」
そう問われると細田の眉尻は下がった。
細「太田の姿を見なくなった時期はたしかにあったけど…春から冬にかけて……。でも飲みには行ってた。2人とも会ってたろ?」
杏「確かに5人で集まることは度々あったな。」
細「太田にはそんな器用なことが出来るようには思えないけどな…。」
その言葉に杏寿郎と天元は目を合わせて沈黙する。
杏(確かに太田は切り替える事が不得意なように感じる。だが証拠が揃いすぎているのも事実だ。)
―――
それからも3人は太田について話し合ったが結局 断言出来るに至らず、細田がとうとう『本人に聞こう』と言い出した。