第85章 不穏
「ふふ、定期演奏会が3月にあるからまた会えるよ。」
桜が笑顔でそう言うと『先生意外とドライですー。』と恨めしそうな声が上がる。
その声に少し思い当たる節があった杏寿郎は『確かに』というように頷いた。
そんな皆を見て桜は心外そうに眉を寄せる。
「だ、だってまた皆で演奏できるんだよ。」
生「それは知ってます!」
生「引退っていう節目に泣いているんです!!」
そう言われると桜は少し困ったように首を傾げたのだった。
陸「煉獄先生、今日は付き添って頂きありがとうございました!!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
陸「そして響凱先生、一ノ瀬先生!!今まで指導して頂き、本当にありがとうございました!!!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
その声に3人の教師は笑みを返し、その日は解散となった。
杏「疲れたろう。寝ていいぞ。ベッドまで運ぼう。」
「家まですぐですもん。起きてますよ。」
そう言いながら桜はシートベルトをしめる。
杏寿郎はそれを見届けると運転席に回って車に乗り込んだ。