第85章 不穏
杏(よく寝ている。最近はずっと指導で忙しくしているからな。)
そのままベッドに寝かせて電気を消し、杏寿郎もベッドに潜った。
杏(何もしないのは久しぶりだな。)
杏「よく休め、桜。」
その柔らかく優しい声で桜は薄く瞼を開けると状況を把握し、寝ようと目を瞑っていた杏寿郎にキスをする。
杏寿郎が驚いて目を開けるも暗くて桜がどんな表情をしているのか分からない。
しかし桜が体を擦り寄せてくると何を言いたいのかは伝わった。
杏「桜、今日は体を休めよう。1日くらいは、」
「しないと快眠できません。手伝ってください。」
そう言われれば当然手を出さない理由など無く、杏寿郎は今世で初めて桜を暗闇で抱いた。
杏(暗い中でするセックスもまた違った魅力があるな。)
杏「本当に体は大丈夫か。待っていてくれ。すぐに茶を持ってくる。」
いつもと異なるシチュエーションからいつも以上に激しく抱いてしまい、杏寿郎はくたりとしている桜に布団を掛けると服を直しながら急いでキッチンへ向かった。
杏「桜、持ってきたぞ。」
「ありがとうございます。」
電気を点けると桜は服を着てから上体を起こし、ふわふわとした笑みを浮かべていた。