第85章 不穏
勇「この仕打ち、あんまりだと、」
由「あらあら!仲良しで可愛いわね!それに首を寝違えないように手を差し入れてクッションにしてくれているわ!」
勇「…そうではなく、俺にこれを送るのはどうかと思うんだ。酷い惚気だろう。」
それを聞くと由梨は桜とよく似たきょとんとした顔になった。
由「それは惚気じゃないわ。杏寿郎さんは100%貴方のことを思って送っているはずよ。貴方最近おかしいでしょう。おかしいと言えば桜関係よね?実際貴方がさっきみたいな張りのある声を出したの久しぶりですし、桜の顔を見て少なからず調子を取り戻したんじゃないですか?」
そう言われると勇之は確かに嫉妬の中に安堵の気持ちもあった事に気が付く。
そして杏寿郎の純粋な思い遣りと、自身をよく見てくれている由梨に感謝を覚えると共に反省の溜息をついた。
それを見て由梨は口に手を当てて嬉しそうな顔をする。
由「あら?そろそろ許可が下りちゃうのかしら。」
勇「それはまた別の問題だ!!」
それを聞きながらも由梨は勇之の心情を察してくすくすと笑った。
杏(む。途切れてしまったな。気を遣ってくれたのだろうか。)
そう思うと杏寿郎はスマホをポケットに仕舞って桜をそっと横抱きにする。