第84章 球技大会、決勝
その次の試合、もう1組の準決勝の試合も杏寿郎と桜の担当をするチーム、躑躅組と蓬組の試合である。
その躑躅チームは何故か戦う前から憂鬱そうな顔をしていた。
(…………………何なんだろう……。)
―――ピーーッ
桜は再び感じた違和感に首を傾げながらその試合を見守る。
桜の声援があろうと無かろうと蓬チームは安定していて負ける気配がなかった。
(やっぱり向こうの調子が悪そうだなあ。偶然……?)
桜は杏寿郎の太陽のような明るさが見えない何かに相殺されている様を初めて見た。
結局1セット、2セット続けて調子の振るわなかった躑躅チームに蓬チームは圧勝した。
「……えっと、強いね。」
試合を終えて桜の元に集まった蓬チームのメンバーに桜は少し困惑した笑みを向ける。
するとしのぶが柔らかく微笑みながら小首を傾げた。
し「躑躅組は私達と同じ3年生ですし、それなりに知り合いも多いです。仲が良い人も多いのであちらもやりづらそうにしていましたね。」
「あ、あー…そっかあ!」
あっさりと言いくるめられた桜に他の選手達は若干心配そうな顔をし、しのぶは相変わらず生き生きとしていた。
そうして決勝戦に進むチームが筍組と蓬組に決まったのだった。