第84章 球技大会、決勝
(柿組のみんなは弱くない。でもそれがあの規格外3人組にどこまで通じるか…。)
答えは全く通じない、であった。
それまで安定していたキャッチも伊之助や炭治郎が放つボールが重すぎてどうしても受けきれず、伊之助を褒めるという作戦を実行する余裕もない。
おまけに炭治郎は女子に当てる時にきちんと加減をしていたが、伊之助は毎回注意しないと全力で腹に投げつけてしまい 嘔吐してしまった生徒までいる。
それ故にそれまで冷静だった女子の選手達は伊之助がボールを持つ度に恐怖心から軽いパニックを起こしてしまうようになってしまった。
「落ち着いて!空気に飲まれちゃ…っ、」
ア「伊之助さん!お腹に当てたらだめって何回言えば分かるんですか!」
伊「そんなルールは習ってる時には聞かなかったぜ!!そっちが昨日からごちゃごちゃ言い出したことだろ!!!」
ア「昨日だろうがそれより前だろうが、必要だから言ってるんです!馬鹿じゃなければ分かりますよね!!」
伊「はぁッ!?あったりめぇだわ!!!」
(アオイちゃんナイス……っ)
腹以外に当たっても痛そうではあったが、アオイの毅然とした態度を見て柿チームの女子達は幾分か冷静さを取り戻した。
しかしそれでも歯が立たない事は変わらず、悲しい程あっと言う間に1セット取られてしまった。
そのあまりの呆気なさに選手達は気落ちしたような諦めたような顔になってしまっている。