第84章 球技大会、決勝
伊「言っとくが手加減はするつもりねーからな!!」
ア「結構です!期待は元よりしていませんから!!」
それは筍チームと柿チームの試合だ。
普段は伊之助相手に折れる事が多いアオイも異常に早い時間から行われていた朝練に耐え抜いた結果を出したいようで 珍しく伊之助を相手に張り合っている。
杏「一ノ瀬先生、よろしくお願いします。」
「……はい。こちらこそよろしくお願いします。」
何となく他人行儀な声色に感じた桜は少し首を傾げながら杏寿郎の瞳を見上げた。
「……っ」
見つめた瞳は荒々しい色に燃えている。
(え…、怒ってる……?何で…今日は誰とも抱き合ったりしてないのに…。)
「杏寿郎さん……、何が、」
杏「ここは職場だぞ、"一ノ瀬先生" 。では良い試合をしましょう。」
「は、はい……。」
実弥の名を呼んだ時、桜は玄弥を守ろうと必死であった為 何を口走ったのかなど記憶していなかった。
それ故に混乱し、意表を突かれ動揺もした。
(……でも、切り替えなきゃ!生徒には関係ないんだから!!)
桜は気持ちを切り替えるように頬をぺちぺちと叩くと柿チームを鼓舞し、今まで通り堅実なプレーを意識するようにと伝えて送り出す。
一方、杏寿郎も熱いエールを送って士気を高め生徒達を送り出していた。