第84章 球技大会、決勝
普段は声の小さい桜は最後の1人になっても頑張って大きな声を出しながら応援していたが、最後の1人であった玄弥の奮闘虚しく 伊之助の強力な一撃を食らって肩を押さえながら膝を床についた。
その時―――、
実「玄弥ァァッ!!!」
その怒号に桜と玄弥が青くなる。
「さ、さね、不死川先生…、不死川くんはよく頑張ったと…、」
実「お前は黙ってろォ。」
―――ピー………
情けない程頼りない笛の音が第1セットの終了を報せる。
実弥はそれを聞くと床に膝をついて冷や汗を流している玄弥の胸ぐらを掴んで立たせた。
それを見て桜は慌てて駆け寄る。
「実弥さん!だめだってば!!玄弥くんに何するの!!」
青い顔の玄弥を守ろうと実弥の腕を掴むもビクともしない。
胸を叩いてみても全く動じない。
その間 実弥は桜の訴えを全て無視して玄弥にひたすら睨みを利かせていた。
そしてたっぷりと睨んでからやっと口を開く。
実「お前…、最後ビビったろォ。取れた筈のボールだった。正面に居たのに避けようとしたからここに当たったんだろォがァ。」
そう言いながら実弥は玄弥の肩を拳でトンッと軽く叩いた。
一方、まともなアドバイスに桜と玄弥は目を丸くする。