第84章 球技大会、決勝
「よし!皆の出番だよ!ずっと見てるからね!!最後まで頑張って!!」
そう言いながら桜は再び生徒達の背中をぽんっと叩きながら送り出していく。
それを赤と金色の光る瞳が見つめていた。
桜はそれに気が付いて顔を上げると『負けません!』と口を動かして見つめ返す。
杏寿郎はそれに楽しそうな笑い声を上げて近くの生徒の目を丸くさせた。
(う、余裕あるなあ…。)
桜は悔しそうな顔をするとあからさまに顔をプイッと背ける。
杏(む、機嫌を欠いてしまったな。からかったつもりは無かったのだが。)
杏寿郎はそう思うと腕を組んだまま少し困った様に眉尻を下げて首を傾げた。
そのやり取りをこっそりと見ていた生徒達は杏寿郎の方が立場が弱いのではないかという印象を受けた。
―――バチィッ
伊「オラァ、いっちょ上がりぃ!!!」
玄「……っ!!」
1セットはあっと言う間に取られてしまった。