第15章 兄弟の想いが詰まった晩酌
桜は千寿郎と顔を見合わせて頷くと、すぅっと息を吸った。
「槇寿郎さん、桜です。意外だと思いますが約束通り良いお酒用意しましたよ。入ってもいいですか?」
少し間があった後、低い声が聞こえる。
槇「入れ。」
それを聞いて千寿郎は目を大きくした。
"失礼します" と襖を静かに開けると、意地悪な笑みを浮かべた槇寿郎がいた。
槇「猫、お前襖の開け方知ってたんだな。」
「う…知ってはいますよ…。あれ?でも…一回目は踏み倒して、二回目は…?」
記憶があやふやな桜は首を傾げる。
槇「スパーンと幼子のように開けてたな。そんなんじゃ嫁の貰い手がなくなるぞ。」
「え、私そんな事したんですか…。で、でも、妙齢な女に対してその言葉は駄目ですよ!」
槇「そういえばお前歳はいくつだ?」
「……二十歳ですが…。」
それを聞くと少し視線を外して、
槇「杏寿郎と同い年か…。」
と呟いた。