第83章 球技大会の予選と杏寿郎の懸念
杏「桜、君は何か勘違いをしている。先程も言ったが "当然の事" だ。好いている人の匂いに体や心が反応するという事はごくごく一般的な話だぞ。特に寂しい時や疲れている時には自然と強く欲する。恥じなくて良い。安心しなさい。」
「…………え……?…杏寿郎さんにとっての "当然" ではなく…一般的な話、なのですか…?」
杏「ああ。君がしたオナニーも君が俺を好いているから出来た行為だ。嬉しく思う。」
それを聞いた途端、桜の体の強ばりは面白い程簡単に解れていった。
杏寿郎はその様子が喜ばしくて目を細めた。
「じゃあ…杏寿郎さんは今日疲れてたから…たまたま……?」
杏「うむ。しかし説明もせずに嗅いですまなかった。君が何も知らない事を忘れていた。」
桜は自身の反応が過剰であったのだと知ると再び赤くなってしまった。
「ご、ごめんなさい。私ひどい事を言いました…。」
杏「知る機会が無かったのだから仕方のない事だ。俺が教えていくのでそれをしっかりと学べば良い。君が嫌なのであれば外には持っていかない。だが度々嗅ぐことは許してくれ。」
「…はい。」
桜はただただ素直に頷く。
その信頼の厚さに杏寿郎は再び目を細めて微笑んだ。