第83章 球技大会の予選と杏寿郎の懸念
「神崎さん、最後よく粘ったね!集中攻撃されてたのにボール奪って当てた時ほんとーに格好良かったよ!」
ア「あ、ありがとうございます…。」
アオイは少し頬を染めて恥ずかしそうに眉を寄せながらも礼を言った。
その様子を見て他の生徒も褒めてもらおうと自己アピールを始める。
桜は全員を褒めていきながら 頭を撫でて欲しい女子の頭はぽんぽんと撫で、男子には撫でる代わりに両手のひら同士でパチンと軽くタッチをした。
(うーん…見てるなあ……。タッチもだめなのかな…。)
結局予選の8試合が全て終わり、全校集会が終わった後もその視線は度々桜の首筋を焼いた。
「もう!何なんですか?とても怖かったです!」
杏「噂を聞いた。君が体育館の観客席で生徒と抱擁をしていたと。随分と幸せそうな顔をしていたそうだな。」
帰りの車に乗り込むと杏寿郎はシートベルトをしながら感情の読めない声色でそう言った。
それを聞いて桜は納得すると共に相手を思い出して首を傾げる。
「杏寿郎さん、その噂ちゃんと詳しく聞きましたか?」
杏「詳しくも何もないだろう。否定しないのだな。」
杏寿郎は付けたばかりのシートベルトを外すと助手席側に身を乗り出して桜を閉じ込めるように手をついた。